初夏の森へ柴かきに!アカマツの森を元気にするツアー
- 活動日
- 2015年5月23日(土)~24日(日)
- 活動場所
- 長野県伊那市富県地区
活動レポート
めざすはマツタケ、いざアカマツの森へ
少数精鋭、モチベーションは十分

アカマツの森に到着。初参加メンバーも凛々しい表情。
昨年10月に行われた「菌根菌調査」では、念願のマツタケにはお目にかかれなかったものの、ここでへこたれてはいけません。総勢20名弱とややコンパクトですが、今回もやる気に満ちたメンバーが集合しました。モチベーションの高さでは誰にも負けません!現地では、このプロジェクトで協働しているアーバンフォレストリーの吉見さん、後藤さんと合流し、そろってお昼ご飯。ボリュームたっぷりのハンバーグセットでお腹を満たし、さっそく作業場所である富県地区へと向かいます。
運んで伐って、柴かき。
「今年こそは」の願いを込めて

まずは丸太の運び出しから。みんなで力を合わせます。
今回作業するのは、30年前からほとんど人の手が入っていないという森。樹齢40年ほどのアカマツが多く、このくらいの年数がちょうどマツタケが生えやすいのだとか。しかし、ただ待っていてもマツタケは生えてくれません。栄養分の少ないやせた土地に真っ先に根を下ろすことから、「パイオニア・プランツ」とも呼ばれるアカマツ。裏を返せば、落ち葉などの堆積物の多い富栄養な場所を好まないということです。アカマツの根と共生するマツタケもまた同様で、地面を覆う落ち葉や枯れ木をきれいに取り除く柴かき作業が、秋のマツタケ狩りへの第一歩なのです。「今年こそは!」の気合いを込めてクマデを手に取る一同ですが、その前にひと作業ありました。森の中には枯れ残った木や倒木が多く、これらを運び出さなければ柴かきができません。あらかじめアーバンフォレストリーの方たちが伐採し、運びやすい大きさに切ってくれた丸太を、力を合わせて運び積み上げます。すっきりしたところで、いよいよ柴かき。長い間手を入れられていないだけあって、足元には灌木が生い茂り、クマデがからまってなかなかはかどりません。ときにクマデをナタやノコギリに持ち替えながらの作業。いつのまにか額には汗が浮かんできます。頭上には春ゼミの鳴く声が響き渡り、ひと足先にすっかり真夏気分です。休憩を取りながら2時間半ほど作業をして、本日の任務は完了!
森への想いを語り合う

初夏の森はさわやか。思いきり深呼吸したくなります。
宿泊場所は、昨年もお世話になったゼロ磁場の宿・入野谷さん。川のせせらぎが間近に聞こえる気持ちのよい宿です。ひと休みしたあとは、天ぷらやお刺身が並ぶ豪華な夕食を囲みながらの自己紹介タイム。森ライに参加したきっかけや、森づくりへの想いをそれぞれが語り、笑いあり、しんみりあり。おなじみの参加者同士でも新たな発見があったり、意外なつながりが見つかったりと会話が弾みました。こんな時間も少人数ならではの醍醐味ですね。食後は希望者で、4階にある瞑想ルームの見学へ。部屋の中央に置かれた謎のピラミッド型のフレームの中に代わる代わる入って、何となくストレッチ。ちょっと体が柔らかくなった気がするという人、数名。体もほぐれたところで、翌日にそなえてゆっくり休みます。
有望株を発見! 秋への期待を込めてしっかり柴かき

一列に並んで、柴かき、柴かき!
翌朝8時、全員元気に集合しました。実はこの日は雨が心配されていましたが、雲の間から薄日が射し、今日も絶好の作業日和になりそうです。現地へ向かうバスの中、「あっ!サル!」という声が上がり、車窓に目を向けると、山を下りてきたニホンザルの群。もの珍しげにこちらをうかがう彼らと、しばし見つめ合います。作業場所に到着し、竹垣隊長の「みんな、自分が思うほど若くないので、ちゃんと体をほぐしましょう!」の号令のもと、各自ストレッチを済ませて、いざ森の中へ。アーバンフォレストリーの方たちが早朝から灌木を伐ってくれたそうで、昨日に比べてずいぶん作業が楽です。クマデでごっそり落ち葉をかいていくのは、なかなかの快感です。途中、1本のアカマツの根元を指さしながら手招きする吉見さん。近づいてみると、地面がうっすら白っぽくなっています。これは「シロ」と呼ばれるキノコの菌糸のかたまりで、おそらくケロウジという種類だということ。ケロウジはマツタケと同じく、アカマツと共生する菌根菌キノコなので、マツタケも生えやすい環境が整っている証拠だそうです。期待がふくらみます!アカマツのなかでも、マツタケ菌が共生しやすい木には、尾根筋に生えていること、勢いがよくやや暴れた樹形であること、側にマツタケと相性のよいネズミサシが生えていること、などの特徴があるそうです。しっかり覚えておかねば……。そうこうしている間に2時間ほどが過ぎ、あちこちにフカフカの落ち葉の山ができています。これはあとで集めて寝かせ、腐葉土として利用されるそう。森の恵みには、一つもむだになるものがありません。あらためて見渡すと、すっかりきれいになった山肌に、まっすぐに立つアカマツ。その美しさに見とれながら、「マツタケ生えろ!」の念も忘れずに送り、森をあとにしました。
森ライらしく、最後まで盛りだくさん!

1日目、無事に終了。みんな充実の表情。
バスに乗り込むと、早くも「アレが飲みたい!」の声があちこちで上がります。昼食は伊那市のお隣、駒ヶ根市にある南信州ビールの直営店、味わい工房で名物のソースカツ丼。希望者は各自ビールを注文します。中央アルプスの雪解け水を使っているという地ビールは、さすがキレがいい!朝から汗ばむほど動いた体にしみ渡ります。たたみかけるように、お楽しみは続きます。車で数分のマルスウイスキーの信州マルス蒸留所へ。原酒の貯蔵庫やポットスティルという銅製の蒸留機など、ウイスキーの製造工程を見学します。そこら中に甘い香りが漂い、何だかみんなニコニコ。見学後は、もちろん試飲。ここでも木の香りを堪能しました。締めは恒例の温泉へ。静かな露天風呂で疲れを取り、帰路につきました。次回の伊那での活動は10月。今回の活動の成果は見られるでしょうか?お楽しみに!
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瞑想ルーム。のはずが、なぜか悲鳴が聞こえます。
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アカマツの根につく菌根。マツタケ出現のきざし!?
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ちりも積もれば、フカフカの山ができ上がります。
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アーバンフォレストリーのみなさん、今回もお世話になりました!
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お昼はソースカツ丼。卵とじよりさっぱりイケます。
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マルス蒸留所を見学。ここは原酒の貯蔵庫です。
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試飲タイム。好みの1本は見つかりましたか?
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Voice
─参加者の声─
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塩川直子さん
森林セラピーに興味を持ち、全国各地の森に足を運んでいます。森にもいろいろあって、自分に合う場所とそうでない場所があるんですよ。アカマツの森は心地いいし、先への楽しみがあるのもうれしいですね。体力面で少し心配でしたが、やってみたらすごく楽しくて、充実した時間を過ごせました。