北ドブ湿原のトレッキングや苔玉(ブナ玉)づくり!
カヤの平高原をめいっぱい楽しむブナの森づくりツアー
- 活動日
- 2017年9月9日(土)10日(日)
- 活動場所
- 長野県下高井郡木島平村 カヤの平高原
活動レポート
木島平村民も森づくりに参加。
お楽しみ企画も盛りだくさんな2日間。
使われなくなった牧草地をブナの森に還します
このプロジェクトは、牧草地にブナの稚樹を移植して、元のブナの森に還すのが目的です。カヤの平高原牧場は、1956年に約54haの国有林を木島平村が借り受けて開墾してつくったもの。夏の間だけ村から牛を連れてきて放牧していました。しかし、牛乳需要の減少や酪農家の高齢化などに伴い牧場を利用する牛の頭数も減ったため、一部を森に還して国に返還することにしました。長野県のブナ博士 小山泰弘さんが林縁部にある実生のブナ稚樹を移植することで、自然のまま森に遷移するのを待つよりもずっと早く森に還せる方法を考案し、森のライフスタイル研究所と木島平村が協力して森に還す活動を続けています。
地域の人々と力を合わせて森づくり
森ライ参加者、八十二銀行の社員ボランティア、木島平村の皆さま、さらに下高井農林高校の生徒の皆さまと引率の先生が加わり総勢44名で森づくりです。まずは移植用のブナ稚樹の掘り採り作業。土曜のみ参加の村民と八十二銀行、下高井農林高校の皆さまは、前半にブナ稚樹の掘り採りを行い、後半は移植作業を実施。八十二銀行さんは、2013年の創立82周年記念植樹以来、飯山支店を中心に毎年、活動に参加していただいています。下高井農林高校は、昨年からグリーンデザイン科 緑地系の生徒が参加してくれるようになりました。地域の皆さまにも、ブナの森づくり活動の輪が広がってきています。
ブナの苗は自給自足です
前回の活動で、牧草地の入り口付近のブナ稚樹は掘り尽くしてしまったので、今回はさらに奥にあるブナの根元から掘り採ります。ブナの葉っぱは、縁が波型になっているのが特徴。慣れるとすぐに見分けられるようになります。また、ブナは根を浅く張るので、それほど深く掘らなくても大丈夫。掘り採った稚樹は根の周りの土ごとトレイに入れ、リアカーに乗せて移植エリアまで運びます。掘り採った穴はそのままにしておけば、そこにブナの種が落ち、何年か経てばまた掘り採れる大きさの稚樹に育ちます。つまり、持続的に稚樹を掘り採ることができるのがカヤの平高原の森づくりの特徴の一つ。他所から苗木を購入する必要はありません。
木島平村の伝統文化に触れる夜
掘り採り作業も無事に終え、夕食後は、南鴨地区の秋祭りを見学しました。木島平村では9月になると毎週末、村のどこかで秋祭りが開かれます。お祭りのメインは夜に行われる天狗の舞と獅子舞です。各地区の区長さんの家で獅子舞が披露され、その後に天狗の面を被った若者が松明を持ち、舞いながら神社へと向かいます。後ろには笛や太鼓のお囃子と地区の大人や子どもたちが灯篭を持って続きます。神社の前に張られた縄を天狗が刀で切り(シメ切りといいます)神社へ入ります。神社では獅子舞が奉納され、深夜までお祭りは続きます。古くから伝わる村の伝統行事を間近で見ることができました。秋祭りが終わると、村では稲刈りが始まります。
ブナの森が、少しずつ広がっていきます
2日目の午前中は、移植作業。昨夕、合流した参加者1名を加え、森ライと八十二銀行のボランティア21名で昨日掘り採ったブナ稚樹を植えます。スギやヒノキが通常1.8m間隔で植えるのに対し、ここでは約50cm間隔で密植します。ブナは乾燥を嫌うので密植することでお互いが蒸散する水分で潤います。また、ブナの木の根元の実生の稚樹もこのくらいの間隔。自然の状態に近い形で植えます。植えたブナは冬の雪の重さに耐えて春を迎え、それから先は苗たちの過当競争が始まります。先に大きくなったものが日光を独占して、さらに大きくなっていきます。たくさんの苗を植えても、100年後に残るのは数本です。
森を学びながらトレッキング
さて、午後はブナ博士 小山さんのガイドで北ドブ湿原まで森林学習をしながらトレッキング。村民4名も参加してくれました。森林の生態や樹木の話、キノコの話などを聞きながらのんびりと歩きます。この散策路は森林セラピーロードに認定されているので、森の知識とともに心と体の健康も得ることができました。途中で見つけたキノコは毒キノコばかりでしたが、かわいらしい姿にカメラを向ける人もたくさん。フォトジェニックな秋の森を楽しみました。村民の中にも北ドブ湿原は初めてという方も多く、こんなに豊かな自然が身近な所にあることを驚いていました。
苔玉にしてブナを持ち帰ろう
トレッキングから戻ったら、ロッヂの前で苔玉(ブナ玉)づくりワークショップです。ロッヂ管理人のお母さんも参加してくれました。木島平村役場の武田さんに作り方をレクチャーしていただき製作開始。昨日、苔玉用に選り分けておいたブナの稚樹の中から好きな稚樹を選び、根の周りに保水力の高いケト土と赤玉土を混ぜたもので泥団子状にして、その上から乾燥を防ぐため水苔でくるみテグス糸で巻いてカタチが崩れないようにします。作った苔玉は、持ち帰っていただき、ご自宅で育てていただきます。大きく育ったら、またカヤの平高原に持ってきていただき移植しましょう。それまで大切に育ててくださいね。
Voice
─参加者の声─
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イトダアヤノさん
カヤの平高原は、2013年10月の活動に参加して以来、今回が2回目です。毎回、参加したかったのですが、以前の職場が土日続けて休みを取りにくかったのでなかなか来ることができませんでした。ここの森づくりは、自分で苗を採って、それを植えるので、樹木の生態について学べることが魅力ですね。昨晩は木島平村の秋祭りも見学しました。こうした地域の文化に触れることができるのも泊りがけの活動ならではのことですね。カヤの平高原のいちばんの魅力は豊かなブナ林です。今日、私がブナを植えた場所も100年、200年後には、あんな風になるのかなと想像しています。