活動一覧

ANNOUNCEMENT & REPORTS

REPORTS

活動レポート

写真

2018/10/14 Updated

稲刈り! 稲架掛け!! 路づくり!!!。田んぼと森のイロイロ体験ツアー

活動日
平成30年10月6日(土)
活動場所
東京都八王子市上川の里 特別緑地保全地区

活動レポート

秋が近づいている喜びを肌で感じながら、田んぼで森で汗を流して、BBQも満喫!

夏の猛暑も次第に収まり、身体を動かすにはもってこいの季節になってまいりました。と同時に、「天高く馬肥ゆる」の言葉通り、食欲が旺盛になってくる秋。身体を動かし、食欲も満たしたいということで、今回の活動は、重みでしなるほどに穂が実った稲を刈って11月の収穫祭に備えつつ、BBQも満喫しちゃおうということで、お集まりいただいたのは総計37名。午後は、BBQで少し重くなった身体を再度絞るのも兼ねて、森に入っての路づくりです。
2年目の稲刈りに至るまでのこの地の紆余曲折なる経緯

写真入りのボードでこれまでの経緯を説明する代表の竹垣。

実際の活動に入る前に、この地の歴史をおさらいしておきましょう。ここは主に関東や東北など東日本に多い、丘陵地が長い年月の間に浸食されて形成された谷状の「谷戸(やと)」と呼ばれる地形で、周囲の森から湧水を容易に得られるため、水稲耕作に適した土地として、古くから稲作が営まれていました。同時に、人々は森に入って木を伐り、家を建て、薪や炭にし、森と密接な関係を持ちながら生活していました。ところがその後、日本は高度成長時代に突入し、利水・治水技術が発達するにつれてこの地での稲作は次第に衰退。森からの恵みを活用することもなくなっていきました。そしていきなり持ち上がったのが、産業廃棄物処理場計画。これには地元も猛反対し、最終的に市の協力もあり、現在の特別緑地保全地区に指定されました。その間、地域の人たちは草刈りなどを続け、大切に自然を維持してきました。そんななか、縁あって私たち森のライフスタイル研究所が、地域の方々と一緒に田んぼを始めたのが昨年の2017年。重機を入れて表土を30センチほどはぎ取り、畦をつくり、水路を引き、40年ぶりに田植えを行い、今年2年目を迎えたという次第です。

2人一組になって稲刈り開始

子どもが「刈り役」、大人が「束ね役」の図。

昨年はコシヒカリを植え、精米にして75キロほどの収穫が得られました。今年はフサコガネという種類の米と、11月の収穫祭でもくろむ餅つき用に餅米を1:1で植え、昨年と同程度の収穫を目指しています。そしてこの日は、4枚つくった田んぼのうちの1枚目に植えた餅米を鎌で刈っていきます。具体的には、2、3本の苗を一緒にして植えたまとまりを1束として、それを3〜4束切って集めて縛り、V字型にひねって、ハザ掛けにしていく作業です。2人一組で、切り役と、まとめてV字型に束ねていく役に分かれて、その立場を途中で交代しながら、午前中の約2時間、腰を曲げ汗を流し、田んぼの恵みを収穫していきました。

ハザ掛けをする2つの理由

ハザ掛けが増えていくのは、なかなかの快感です。

ハザ掛けというのは、刈って集めた稲を逆さまに吊るすことをいいます。これには2つのワケがあります。まず、稲を乾燥させることで、脱穀など今後の作業をやりやすくするのがひとつ。もうひとつは、稲穂を下にしてゆっくりと天日干しにして乾燥させることで、茎や葉の養分まで穂先に集めることができ、お米が美味しくなるといわれているからです。

午前の作業を終えて記念撮影

午前の部が終了。ひとまず、お疲れさま!

稲刈りをはじめて約2時間。この日の目標だった1枚目の田んぼの稲はすべて刈り取りが完了して、そこにできたスペースを使ってハザ掛けにしてみなさん集合。秋らしい青空の下、「はい、ポーズ!」で記念撮影。さて初の餅米のデキやいかに…、早くも11月11日の収穫祭が楽しみですネ。

肉も野菜もたっぷり用意してバーベキューに舌鼓

初対面でも話がはずむBBQ。

日頃なまっていた身体を動かした後に感じる、森を撫でてきた清々しい空気と青空。グ〜ッとお腹が鳴ってくるのも当然です。お昼は、肉、野菜から焼きそばまで、炭火で豪快に焼きながらのバーベキュー。森ライのお昼ご飯のなかでも、おそらく歴代No.1ではないかと思われる人気メニューです。

午後には森に移動して初の路づくりに挑戦

何もなかった斜面にどんどん路が伸びていきました。

森ライでは、みなさんのお力を借りながら、これまで十数回にわたってここ上川の里で、森の木を伐ってまいりました。これは、人の手が入らなくなったために暗く保水力も乏しくなってしまっている森が、再び明るく、豊かな水の供給源となるための作業として欠かせないからです。現在、伐った木は森の斜面の所々に集められてはいるものの、今後、これらを運び出したり、この森に自然散策に訪れる方々にとって開放感のある安全な森であるためにも、急斜面でも歩きやすい路があると大変便利です。また、そこに伐った木をチップにして撒くことでさらに快適に歩行でき、景観づくりにも役立つ路づくりを目指したいとも思っています。今回、その第一歩として、斜面の土を崩して平らに固め、土が流れないように木を打ち込む作業をしてきました。これは、かなりの重労働ではありましたが、小一時間の作業にもかかわらず、滑りそうになりながら登っていた百メートルちょっとの急斜面が、見違えるほど歩きやすい山路へと変わっていきました。そして、筋肉を使い切った頃にこの日の作業はすべて終了。参加された皆さん、どうもありがとうございました。そして、大変お疲れさまでした!

画像をタップすると拡大表示します。

  • 餅米を植えた一番手前の田んぼ1枚分がこの日のターゲット。

  • 稲刈りからハザ掛けまで、作業の説明をする隊員のふなっちゃん。

  • この状態してからハザ掛けにします。

  • 機械化される以前の農家の人に、腰の曲がった人が多かった理由がわかるポーズ。

  • ときどき腰を伸ばしながら、豪快な笑顔でせっせと稲刈り。

  • 田んぼのなかからカヤネズミの姿も。

  • カヤネズミ以外にもたくさんの植物や昆虫に出会えました。

  • 1枚目の田んぼはご覧の通り、刈り終わってハザ掛けも完了。

  • BBQは炭火で豪快に焼いて。

  • BBQはみんなを笑顔にする魔法の食事です。

  • 栗がごろごろ入った栗ごはんも登場。

  • 食後は、路なきところを掘って、掘った土を水平にならして固めていく「路づくり」に挑戦。

  • 以前伐採した木を使って流れ止めを打ち付けると、さらに路らしくなっていきました。

  • つくった路を挟んで記念撮影。午後もお疲れさまでしたー!

画像をタップすると拡大表示します。

マウスポインタを画像に合せるとキャプションを表示します。画像をクリックすると拡大表示します。

Voice
─参加者の声─
  • 臼井さん(キヤノンシステムアンドサポート株式会社)
    「こちらの活動は社内のイントラなどを通じて知っていました。今回、子どもが参加できる年齢になったということで、家族4人で初参加です。最初にやっていただいたこの場所の歴史を解説した紙芝居など、スタッフの方々の熱意が心に響きました。山の路づくりでは、私も毎年、丹沢の大山に行っているので、山の路がこんな努力のもとにつくられているのかと思うと、これから山を歩くときには有り難みを感じると思います。もうヘトヘトではありますが(笑)、私自身も生まれて初めての体験ばかりで、本当に来て良かったです」
  • 苅部さん(ユーピーエスジャパン株式会社)
    「社内に何名かのボランティアリーダーがいまして、それぞれがいろいろなNPO法人などを受け持っているのですが、10月は会社のボランティア月間ということで、森ライさんの担当の私は息子と一緒に初めてやって来ました。普段なかなか味わえないことばかりで、すごくいい刺激になりました。米はこうやってつくられるんだよと、子どもにとってもいい勉強になったと思います。路づくりでは、路なき路をつくる大変さを実感しました」
  • 清水隆太郎さん(明治大学理工学部建築学科)
    「建築学科の授業に設計の課題があって、今回、その対象が上川町に決まったので、敷地調査の一環として、僕たちにも参加できるイベントということで参加させていただきました。稲刈り自体は直接建築とは結びつかないと思いますが、来週には先生もいらして、もう少し下の方を歩いたり、上川町自体を知るための活動をする予定です。稲刈りも山での路づくりも、人生に一度あるかどうかという貴重な体験でした。稲刈りと路づくりのどちらが気に入ったかですか? 路づくりがあまりにも大変だったので、稲刈りの方でしょうか(笑)」