泉健司さんと見つける、上川の里のお宝な自然♬ キヤノン一眼レフもつかえるよ。
- 活動日
- 平成30年8月5日(日)
- 活動場所
- 東京都八王子市上川の里 特別緑地保全地区
活動レポート
上川の里の手入れを始めて1年。
この地の自然に目をやりながら歩く初の試み。
シーブリーズに各種オイルを調合する虫除けスプレー
日本各地で観測史上最高気温を記録するような、猛暑続きとなった今年の夏。それは、自然に囲まれた八王子市上川地区も例外ではありません。それでも、集まった12名は元気一杯。まずは、蚊やブヨなどから身を守る、自然のなかに入っていく前の下準備「特製虫除けスプレー」作りからスタートです。泉さん直伝のレシピで必要なのは、シーブリーズ、ホホバオイル、グローブオイル、クロモジウォーター。これを、適切な分量で調合しながら、スプレー容器に入れていきます
少量のクローブオイルがブヨにも効果を発揮
泉さんに教えていただいた各材料の調合具合は以下の通りです。まず、ベースとなるのがシーブリーズで、100㎖作る場合なら、その8割に相当する80㎖を使用します。シーブリーズだけでも蚊避けの効果があるそうですが、刺されるとよりダメージの大きなアウトドアの天敵ブヨなどには効果が期待できないので、ブヨの嫌う香りを持ったクローブオイルを加えます。ただしクローブオイルは濃厚なので、肌に優しいホホバオイル10㎖に20滴ほど加えたミックスオイルを作り、これをシーブリーズに加えます。そして最後にクロモジウォーターを10㎖ほど加えて完成です。
各成分の特徴を知ればより納得
今回使用した材料の特徴にも簡単に触れておきます。ますシーブリーズですが、このローションに含まれるハッカ油、ユーカリ油には虫除け効果があることが知られています。カレーなどの料理にも使うクローブは和名を丁字(ちょうじ)といい、強力な鎮痛効果、抗菌効果があります。ただし、クローブオイルをそのまま肌に塗るとヒリヒリしてかぶれるほど強烈なので、人の肌の油分に近く吸収がいいホホバオイルに混ぜて使用するわけです。最後にクロモジウォーターですが、クロモジというのはちょっと高級な爪楊枝の原料でもあり、消炎効果や殺菌効果、ヒーリング効果を持っています。これらの成分を使ったスプレーですから、虫除けに限らず、ブヨなどに刺されてしまったあとの炎症を抑えたり、かゆみ止めもなったりもなるそうです。今回クロモジウォーターは、泉さんのお知り合いによる自家製の物を持参いただきましたが、これらはすべてネットで検索して購入することも可能です。
たくさんの生き物が暮らす里山
各自、特製虫除けスプレーをシュシュッとかけたら準備完了。稲が実り始めている田んぼから山へと向かって、泉さんと一緒に歩いていきます。と、すぐに森から聞こえてくる音に耳を澄ます泉さん。「ガビチョウですね。中国からペット用に輸入された鳥なのですが、鳴き声が大き過ぎるせいで捨てられて野生化しているんです」。ネットで調べると、漢字では画眉鳥と書く、目の周りに白い筋の入った茶褐色の可愛い鳥です。さらに、田んぼの脇にある大きな掘り跡に目をやれば、どうやら周辺に自生するイネ科の植物に集まるコガネムシの幼虫などを目当てに穴を掘ったイノシシの仕業のよう。そのため、私たちは田んぼの稲を守るために電気柵を張り巡らすことを余儀なくされていますが、穴はその柵の外でした。ほかにも、この里山にはたくさんの生き物たちが暮らしているはずです。そんな、ここに棲む動物たちともうまく共存していけたらいいのですが…。
自然には嫌われ者と可憐な花が混在する
私たちが今年も田植えをした箇所よりさらに上部にある昔の田んぼ跡に足を踏み入れると、「水田跡に生える植物としては、葦(アシ)やガマ、セイタカアワダチソウ、オオブタクサなど、だいたい決まっているのですが、ここはオオブタクサがあまりないですね」と泉さん。根から特殊な化学物質を出すことで周囲の植物の生長を阻害する「アレロパシー」という力を持ったセイタカアワダチソウ。オオブタクサは花粉症の原因にもなるやっかいものです。もちろん、そんな嫌われ者以外にも、染料としても用いられるコグナグサや、青い花が可愛いツユクサを見つけながら、森の脇に小さな流れを作っている水辺の方へと向かいます。実は、前もってこの地の下見をしていた泉さんが「そろそろ咲いているかも」と期待したのが、タマアジサイという名の可憐な花で、ちょうど花をつけ始めているのを見つけられました。
選択的除草・除伐で里山に新しい価値を生み出す方向性
さらに、水辺近くではクサギの木を発見。ちょうど白い花を咲かせていましたが、この花はアゲハチョウが好むそうで、この木が増えればアゲハの群れが見られるかもしれません。花ではほかに、アナベルという北アメリカ原産の白いアジサイの仲間も咲いていましたが、「そういう外来種を増やすのではなく、選択的除伐といいますが、タマアジサイやクサギなど、ここのオリジナルの野生の草花が生育しやすいように手助けして、見所を作っていき、新しい里山の価値を生み出すべきだと思いますね」という泉さんの指摘に、なるほど!と頷く一行。この地で私たちが今後やっていくべき方向も垣間見えたのでありました。
お弁当のお昼を経て午後は撮影会
こうしてざっと周囲を歩いたら一度戻り、お弁当で腹ごしらえ。午後からは『EOS Kiss X9i』を手に、各自気に入った絵柄を求めて、再び自然のなかへ。花に、昆虫に、景色に、それぞれの題材を見つけて撮影したなかからキヤノンさんにプリントアウトしていただいた1枚をお土産に、暑いながらも充実した1日を終えたのでありました。皆さん、お疲れさまでした。