都会で暮らしている人の中には
「日本では都市開発が進み、
森が少なくなっているから
植林をして森を増やさなければいけない」
と考えている人も多いようです。
もちろん、無秩序な都市開発等により
自然環境が破壊されているのは事実です。
しかし、国土の7割近くが森林で、
世界有数の森林国である日本では、
必ずしも森林は減っていません。
日本の自然環境にとって必要なのは、
木を植えることももちろんですが、
木を使うことなのです。
日本の森林面積は、国土の3分の2にあたる約2,500万haで、世界有数の森林国となっています。森林の4割(約1,000万ha)が、人が植えてつくった森=人工林、残りの6割(約1,500万ha)が自然に生えたままの森=天然林です。多くの人が日本の森は減少していると思っていますが、実は過去40年間にわたって森林面積はほとんど増減がありません。
一方で森林に生えている樹木の幹の体積の合計である森林蓄積は毎年約1億立方メートルも増加し、平成24(2012)年の時点で約49億立方メートル。昭和41(1966)年に比べると、2倍半も増えています。面積は変わっていないのに、森林の体積は増え続ける。これは、主に戦後の拡大造林によって植えられたスギやヒノキが育ち、すでに利用できる状態にあるにもかかわらず木材が利用されていないからです。人間に例えれば、メタボで不健康な状態ということになります。
私たちは、森を大切にしようとすると、まず木を植えることを考えますが、実は、木を使うこともとても重要なのです。現在の日本の人工林は、間伐等の手入れが不十分な状態にありますが、同時に高齢級の森が増えています。解決策は間伐などを行い、木を伐り、利用していくことです。伐った後に適切な樹種を植え、新しい森にしていくことで、大切な森林資源を持続的に利用していくことができます。「木を使うこと」も森を守り育てていくための大切なことなのです。
出典:林野庁
「森林・林業・木材産業の現状と課題」(平成27年10月)
「森林資源の現況」(平成24年3月31日現在)